乳児湿疹のケアに「プロペト」が処方されたんだけど、それでいいの?
どうして「プロペト」で乳児湿疹が治るの?
そもそも「プロペト」ってどんな効果なの?
そんな方に向けた記事です。
現役薬剤師の私が、プロペトの大切さについて徹底解説していきますね。
・乳児湿疹があることの危険
・プロペトとは(ワセリンとの違い)
・プロペトの効果、メリット
・プロペトのデメリット、注意点
・現役薬剤師がオススメする市販のワセリン
Contents
赤ちゃんの肌と湿疹
赤ちゃんの肌は実はとってもデリケートです。
その理由は
- 肌が薄く、水分が保てない
- バリア機能が落ちていて、外部刺激に弱い
- 免疫機能も不完全
などがあげられます。
そして肌の状況は月齢によって、いろんな変化が起こっています。
新生児期~生後2ヶ月頃
肌の状況
ママの女性ホルモンが赤ちゃんの身体に残っているため、皮脂を過剰に分泌させています。
湿疹が表れる場所
顔・首・頭など皮脂の分泌が多い部位
湿疹の種類
赤いプツプツ、黄色いジュクジュク、カサカサしたかさぶたなど差があります。
正式には、この時期に見られる湿疹が「乳児湿疹」と呼ばれています。
生後2ヶ月頃~1歳頃
肌の状況
皮脂の分泌量が減って乾燥が進みます。
湿疹が表れる場所
・あご・首などのこすれる場所
・汗などで蒸れやすいおなか・背中
・乾燥しやすい頬・四肢
湿疹の種類
あせも、乾燥肌、おむつかぶれなど
アトピー、とびひ、手足口病など、しっかり皮膚科に行くことが必要な場合もあります。
赤ちゃんはまだ「乳児」にあたる時期なので、この時期でも「乳児湿疹」と呼ばれることはあるようです。
乳児湿疹があるとどんなことが起きるの?
湿疹があるというのは、肌のバリア機能が落ちている状態になります。
ここに
バイキンが入る→感染症がおきる
抗原(アレルゲン)が入る→食物アレルギーなどにつながる
という危険があります。
実際の研究結果
たとえばこんな論文があります。
Application of Moisturizer to Neonates Prevents Development of Atopic Dermatitis.
Journal of Allergy & Clinical Immunology (11.248) Vol. 134, Issue 4, October 2014.
新生児期から保湿をしっかりしてると、何もケアしていない子にくらべてアトピーの発生率が32%も低かったという論文です。
超簡単に言えば、赤ちゃんの保湿めっちゃ大事!ってことです。
湿疹とバリア機能と保湿
ここまでをまとめると
- 赤ちゃんの湿疹=バリア機能が低下している
- バリア機能が低下→アレルギーや感染の危険が!
- バリア機能を回復させるには?→保湿!
という話になります。
では、保湿には何を用いるのがいいのか。
そこで私がオススメするのが「プロペト(ワセリン)」です。
プロペト(ワセリン)って?
シンプルに言うと、「油」です。
なので「保湿」と言っても、肌に水分や美容成分を届けるような役割はできません。
膜のように肌をおおうことで、水分が外に出ていくのを防ぎ、外からのバイキンやアレルゲンをブロックしてくれます。
プロペト(ワセリン)のメリット
油脂なので副作用がほとんどない
薬としての成分は入っていないので安心
全身に使える
口に少しくらい入っても大丈夫(リップクリームとして使えます)
とにかく安い(数百円)
病院に行かなくても買える
油なので伸ばしやすい
万が一余ったら、綿棒浣腸などにも使える
プロペト(ワセリン)の種類
純度が低い順に
- 黄色ワセリン
- 白色ワセリン
- プロペト
- サンホワイト
という4種類があります。
赤ちゃんが使う場合は、白色ワセリン以上の純度がよいです。
サンホワイトくらい純度がいいと、今度は保険適応外になってしまってお高めです。
市販のワセリン
ヴァセリン
勘違いしている方も多いのですが、「ヴァセリン」はユニリーバ・ジャパン社の商品名です。
中身は「黄色ワセリン」ですよ。
ワセリン(白色ワセリン)
リンク
「ワセリン」とだけ書かれている場合は「白色ワセリン」のことが多いです。
安価で、赤ちゃんが使ってもよい純度は保てています。
純度に特別こだわらなくていい場合によく使用されています。
ベビーワセリン
成分は「白色ワセリン」と書かれていますが、従来の白色ワセリンと比べて純度が高く作られていますので「プロペト」寄りですかね。
無香料・無着色・パラベンフリーにもこだわっています。
サンホワイト
1本50gで1000円(税抜)と、かなり割高です。
しかし、高品質&アレルギーテスト済みなのは安心ですね。
一般的なワセリンと比べると、テクスチャーが柔らかめで使いやすいと評判です。
プロペト(ワセリン)のデメリット・注意点
こう言っていると、「良いことばっかり言って!」と言われそうなので(笑)
デメリットや注意点についても説明していきます。
べたつき
油なので、かなりべたつきます。
夫はこのべたつきが苦手で、娘にワセリンを塗るのは私の係にしてます。
膜なのでしょうがないんですけどね・・・。
実は、ワセリンと同じように「バリア機能」を高める効果を持つ「日本で唯一の新発想スキンケア」商品がありますよ。
副作用が「ゼロ」ではない
メリットに「副作用がほとんどない」と書きましたが、ゼロではありません。
皮膚に合わない場合は
- 赤くなる
- かゆくなる
- ひりひりする
などがみられます。
万が一赤ちゃんにこのような症状が見られた場合は、ただちに使用を中止しましょう。
プロペト(ワセリン)は「治す」働きはない
子供の乾燥が保湿剤を塗っても塗っても治りません。
と言う親御さんは多い。
診るとその多くは、乾燥ではなく湿疹の悪化
乾燥は湿疹の原因だし、保湿は有効な予防策なんだけど、悪化した湿疹を「治す」効果はありません。何度も塗るのは親御さんも大変。
まずは薬で治すのが近道です— 皮膚科医AY (@AY_derma) January 9, 2020
プロぺト(ワセリン)はあくまで肌を保護するだけです。
「かゆみが強い場所」や「炎症を起こしている場所」は、まずは治療をすることが大切です。
使っていても改善が見られない、使う前から赤みが強い、そんな場合には自己判断せずに必ず病院に行きましょう。
プロペト(ワセリン)と乳児湿疹のまとめ
そう思ったあなたには、先ほど紹介した中からベビーワセリンをオススメします。
なぜなら、
- 赤ちゃんに使える純度を売りにしているワセリンだから
- 少量から売っているので試しに使えるから
- チューブタイプなので、中が汚染されにくいから
という安全性を保ちつつ、初めての人にも使いやすい商品だからです。
購入前からべたつきが気になる方には、ファムズベビーをオススメします。
保湿って赤ちゃんには嫌がられるし、ちょっと手間だし「まあいっか」と思いがちですよね。
けれど、1日10分程度の保湿で赤ちゃんの皮膚トラブルを予防できる可能性がありますよ。
あなたも、赤ちゃんの保湿、始めてみませんか?
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