無痛分娩は「高いけど結局痛かった」「私には効かなかった」「器械分娩になった」という口コミも多く見ますよね。
無痛分娩って結局痛いの?
無痛分娩のリスクが心配
無痛分娩でもいきみ逃しってするの?
なんて不安になっていないでしょうか?
私は無痛分娩を選択しましたが、結論から言えば「痛かった」です。
けれど、「選んでよかった」と思っています。
今回の記事では、無痛分娩の体験談について話していこうと思います。
・無痛分娩の方法、メリット、デメリット
・無痛分娩を選ぶことにより器械分娩になるリスク
・無痛分娩による痛みのコントロールの仕方
・無痛分娩を「体験して感じた」メリット
Contents
無痛分娩について
まずは無痛分娩の基本について説明します。
無痛分娩の方法
多くが硬膜外麻酔を用いられており、脊椎くも膜下麻酔を併用することがあります。
硬膜外麻酔
背中から硬膜外腔に薬を入れる麻酔。
脊椎くも膜下麻酔
硬膜外麻酔より少し神経に近いところに針を刺す麻酔。
硬膜外麻酔より効果が迅速。
無痛分娩を始める時期
基本的には陣痛が発来してから開始します。
開始タイミングは病院によりますが、私の病院では「子宮口の開きが4cm」というのが目安でした。
無痛分娩のメリット
- 陣痛の痛みが少ないことからリラックスして分娩することが可能になる
- 妊婦の体力の消耗を最小限にすることができる
- 産道の柔軟性が弱い場合、お産の進行を促進する可能性がある
- 緊急帝王切開が必要になった場合、すぐに帝王切開に移れる
無痛分娩のデメリット(母体の副作用)
- 「血圧の低下」や「刺した部位の痛み」が多い
- 次いで「痒み」「発熱」「頭痛」「神経障害」など
- 極めてまれな副作用で「血腫」「感染」
- 重篤な副作用で「中毒症状」
無痛分娩のデメリット(赤ちゃん)
- 分娩がゆっくりとなり、「子宮収縮薬の補助」や「器械分娩」が必要になる可能性がある
- 麻酔薬の影響や血圧低下により、赤ちゃんの心拍数が下がることがある
器械分娩は嫌!それでも無痛分娩を選んだ理由
私が無痛分娩を考えた理由は「元々痛みにものすごく弱いから」でした。
けれど、無痛分娩をすることで一番心配だったのは「器械分娩」の使用でした。
麻酔科の医師にそのことを伝えたところ、
「器械分娩を行うのは迅速に分娩を進める必要が出たとき、つまり胎児が危険な状態になったとき。
その時に、迅速な対応は器械分娩しか帝王切開しかない。
切るんだったら器械分娩の方がいいでしょ。」
と言われました。
器械分娩になる確率
その言葉を受けて、私は器械分娩になる可能性がどれくらいなのかということについて統計を調べました。
参考にさせていただいたのは各病院のホームページで公開している情報です。
統計数や統計年度が前後するので幅がありますが、私の調べた範囲では
無痛分娩中に器械分娩を併用された方は20-30%。
という結果が多かったです。
これを
自然分娩でも1割程度は器械分娩になるリスクがある。
ととらえるべきか
無痛分娩を選んでも7-8割の人は器械分娩にならずに済む。
ととらえるべきか、悩みました。
しかし、さらに調べるとデメリットである「分娩がゆっくり」は、「分娩第2・3期(子宮口前回~赤ちゃん誕生~胎盤娩出)が15分程度延長する」という報告があるようです。
無痛分娩という決断を下す最後の最後までかなり迷いましたが、確実に得られるメリットと2-3割で発生するデメリットを天秤にかけ、私は確実に得られるメリットを取ったのです。
実際の無痛分娩の経過 体験談
ここからは陣痛が始まってから無痛分娩で出産するまでの経過をお話します。
本陣痛の開始
私は陣痛前から入院していたため、病院で陣痛を迎えました。
私の陣痛は、結果的に最後まで不定期で間隔が不揃いなままでした。
なので「前駆陣痛だ」と思い込んでいたのですが、痛みが耐えられずナースコールをしたところ、すでに無痛分娩ができるところまで進んでいました。
麻酔導入(無痛分娩開始)
病室からLDRに移動してから、無痛分娩の麻酔を入れるまで1時間半かかりました。
なので、この間もさらに陣痛に耐えたことになります。
恥ずかしながらその時間の痛みでさえ私はうなされていたため、麻酔科の先生のご厚意で「硬膜外麻酔」と「脊椎くも膜下麻酔」を併用していただきました。
この「脊椎くも膜下麻酔」がすばらしく、導入してから痛みはすぐになくなり、おなかの張りさえわからないほど麻酔の効きめがありました。
先生からは、
そして「硬膜外麻酔」に切り替わっていくこと。
痛みを感じた時に麻酔の量を増やすボタンを15分ごとに押せること。
を説明されました。
無痛分娩でこんなに痛みが減るならやってよかった!と立ち会いの主人と笑顔で話していました。
帰ってきた本陣痛の痛み
ところがこの笑顔の時間もつかの間で、1時間後にはまた痛みの波が戻ってきました。
痛みの程度としてはかなり楽でしたが、痛いには痛い・・・。
効くのに時間がかかるのかもしれない、と15分おきにきっかり4回ボタンを押しました。
けれど、1時間しっかり効き目を待っても痛みはひどくなるばかり。
もしかしたら麻酔が入っている場所が違うのかも・・・とナースコールを押しました。
結果。
まさかの子宮口全開でした・・・。
というわけで、あっという間に分娩が進むことに。
無痛分娩中に痛みが強くなってくる場合は「麻酔が正しく入っていない」もしくは「分娩が一気に進行した」のどちらかだそうです。
赤ちゃん誕生まで
その後破水したくらいから、さらに強い痛みの波が来るようになりました。
その痛みにまたしゃべれなくなった私に対し、麻酔科医から麻酔増量を提案されました。
けれど助産師さんから「分娩がだいぶ進んでいるので、今麻酔を追加すると分娩が遅くなる可能性がある」と言われました。
ここまで来て器械分娩のリスクを増やしたくない!というこだわりにより、私は自力で頑張ることを選択しました。
結果としては、分娩時間は7時間43分。
無痛分娩導入時間は約4時間半。
そのうち、完全な無痛(=痛みゼロ)を感じていたのは約1時間という結果になりました。
不安に思っていた器械分娩にはなりませんでした。
結局“痛み無し”ではなかった!?無痛分娩についての見解
上に書いた通り、“痛みがない”時間は約8時間のうちたったの1時間だけでした。
これは「高かったけど効果がなかった」や「私には効かなかった」という口コミと同じなのでしょうか?
私の出産は「効果がなかった」のか?
あくまで私の考えですが、無痛分娩の“無”という言葉に世論がとらわれ過ぎていると思います。
もちろん完全な“無”を目指している病院もあるでしょう。
しかし「効果がない」「効かない」と感じた方々の病院は“和痛”だった可能性もあるのではないでしょうか?
無痛?和痛?麻酔科医に言われたこと
実は、麻酔科の問診の時に医師から「NRSゼロは目指してないんだよ」と言われていました。
つまり、麻酔科医は「まったく痛くないことを目標にしてはいない」と初めから言っていたんですね。
「先生はNRSいくつくらいを目標にして麻酔を導入していますか?」と聞き返すと、その回答は「3」とのことでした。
個人的に陣痛のピークがNRS10だろうと予想していたので、それが3になるのであれば“和痛”でも十分の価値があるというのがこの時点での印象でした。
私の感じたNRSの推移
では実際のNRSはどう感じたかというと、
無痛分娩導入直後:0
痛みが再来してから:3~4(会話はまだできる)
子宮口全開:5~6(だいぶ余裕がなくなる)
破水~出産:7~8(まあまあ暴れる)
という感じなので、麻酔科医が言っていた「3」に比べるとかなりしんどかったです(笑)
ただ後半の痛みを耐えた理由は自分の選択なので、無痛分娩の効果とは関係ありません。
また上記はピークのNRSなので、破水から出産の間でさえ痛みの波が引いている時のNRSは0~1くらいでした。
結局無痛分娩の効果ってあるの?ないの?個人的結論
このように書くと「結局、無痛分娩の効果はあるの?ないの?」と思う方が多いと思うので、私の考えをお話します。
陣痛の考え方
陣痛はずっと痛いわけではなく、間隔などの差がありますが痛みの波(青線)があります。
この波に対して、個々に痛みを感じる閾値(赤線)が存在していて、その閾値を超える波が来れば痛みを感じ、引いている間は痛みを感じないのだと思います。
この波のピークが閾値からどの程度離れているかが、NRSに直結しているのではないかと考えます。
例えばですが、「波はあるが概ね常に痛みがあり、痛みがひどいときはNRS10」と感じていた場合、
常に波が閾値より上にあり、かつ波の一番上がNRS10にあたる(橙線)というこのようなグラフになると思います。
麻酔の考え方
麻酔というのは「神経を麻痺させて痛みを感じにくくするもの」なので、「痛みの閾値を上げる」ということになります。
つまり、
グラフで表現するとこのようになり、麻酔を使用することで閾値とピークの差を縮める=痛みを抑えている(NRSが小さくなる)のだと考えました。
何が言いたいかといえば、無痛分娩の効果というのはこの閾値をどこに持っていくかの操作だということです。
なので、麻酔さえ調整すればすべての波を閾値以下にすることも可能でしょう。
しかし、私は1時間だけその状態を経験しましたが、痛みがないというのも不安を感じました。
というのも、先ほども書きましたが「お腹の張りさえわからないほどに感覚がわからなくなっていたから」です。
少しくらい感覚が残っていないと、「陣痛間隔がどの程度になっているのか」「いついきめばいいのか」「今力を入れられているのか」まったくわからないと思いました。
私の無痛分娩
私の場合は、わりと波のピークに痛みが残っていたので、グラフに表すと
このように先ほどよりは閾値を上げていない形になります。
しかし、二つ前の「波はあるが概ね常に痛みがあり、痛みがひどいときはNRS10」のグラフと比較すると決定的に違うことがあります。
それは、「痛みがない時間が存在する」ということです。
無痛分娩を選んだメリット=いきみ逃しがなかった!
助産師さんにも「無痛分娩なのにこんなに痛いんですか!?」と聞いたら「無痛にしてなかったらそんな言葉言う余裕さえないわよ。」と笑われました。
第一子で無痛を選んだため比較する対象はないですが、確かに痛みの波がない間はウトウトしたり助産師さんと余談をして笑いあう余裕がありました。
何より、分娩口コミでよく見かけるつらいことの一つ「いきみ逃し」は全くありませんでした。
-
おしゃべりをする
-
痛みの波が来る気配を察知
-
痛みのピークになる前にいきみだす
-
痛みが過ぎるまでいきむ
-
次の波までおしゃべり
これを繰り返しているだけでした。
なので、体に感じる波の通りにいきむだけで正しいいきみ方になっていたので、余計な体力を使わずに済みました。
やはり、ここで痛みがなかったら、いきむタイミングもいきみ方もわからなかったことでしょう。
これは無痛分娩の効果と言えると思っています。
「無痛分娩」まとめ
- 無痛分娩は「痛い」です。
- 特に痛みを感じるのは、①麻酔導入までの陣痛、②分娩二期(子宮口全開~赤ちゃんが生まれるまで)です。
- ただし、「痛い」=「効果がない」ではありません。
- 痛みの程度は軽いです。そして感じる痛みは、分娩に必要な痛みです。
- 体力はかなり温存できました。特に「いきみ逃し」がなかったことは大きいと思っています。
- 会陰切開及びその後の処置、分娩三期(胎盤排出)の痛みも感じなかったのは有難かったです。
ただし、本当に痛みがない(NRS:0)分娩も可能だと麻酔科医は言っていましたので、文字通りの「無痛」分娩を導入している病院はあると思います。
ご自分の産院における「無痛分娩」が
そのような内容をきちんと確認し、理解・納得したうえでのぞめると良いですね。
無痛分娩でも出産は出産です。お母さんもお子さんも命がけです。
出産をするあなた自身が一番納得できる形を選択することが最もよいことだと私は思っています。
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